龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
目が覚めて最初に思った事は

『腹へった~』


「何か食べるかい?」


へっ? 誰?

圭吾さん?


寝ぼけまなこが一気に覚めた。


ここどこ?

ひょっとして今わたし本当に口に出して言った?


ガバッと起き上がってまわりを見回す。

わたしは明かりを落とした自分の部屋にいた。

勉強机の椅子に圭吾さんが座ってこっちを見てる。

開いたままの戸口から廊下の明かりが差し込んでいた。


「い……今何時?」

「夜の八時くらいかな。何食べたい?」

「カップ麺」

「ちょっと待ってて」


しばらくして圭吾さんはポットとポリ袋を持って戻ってきた。


「シーフードとカレーどっちいい?」

「シーフード」


この家に来てから初めてカップ麺を見た気がする。


< 90 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop