Spring Letter 【短編】
靴箱に戻ると、美沙が座って待っていた。
美沙は、私の落ち込んだ顔を見て「渡せなかったんでしょ?」と優しく言った。
いつもの美沙なら私に説教して「もう一度行っておいで」と言うはずなのに、この時は言わなかった。

美沙は溜め息をついて言った。
「うちも竜也君に渡せなかったんだ…。竜也君、いつも男子といるからさ、恥ずかしくて渡せなかった…」
私は、美沙の話を聞いて少し安心した。
美沙もやっぱり女の子なんだ。

いつも美沙は男らしいから、今日はいつもと違う美沙が見れてよかった。
美沙の新たな一面が私の脳裏に焼き付かれた。

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