Spring Letter 【短編】
私たちは、携帯電話にダウンロードしてある曲を流して、花火を楽しみながら雑談した。
空気が澄んでいて、夏の花火より綺麗だった。
「ねぇ、美波。進路どうなったの?」花火にうっとりしている私に、美沙が現実を突きつけてきた。
「進路ねぇ…別にやりたいことないし、大学行きたくないし、適当に就職ってとこ」
「自分の将来なんだからさ、適当なんてダメだよ」いつも通りの美沙の説教。

私は、言い返すことができなかった。
美沙の言ったことは、あまりにも正しかったから。
そんなこと自分でもわかっている。でも、やりたいことがわからなかった。
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