Spring Letter 【短編】
私は、家に帰ってリビングのソファーに寝そべり、ついさっき買ってきたファッション雑誌を読んでいた。
キッチンでは、お母さんが揚げ物をしていた。
『今日の夕食は…コロッケってとこかな?』そんなどうでもいい予想をしながらファッションの研究をしていた。

「プルルル…プルルル…」
入り口の横の棚の上に置いてある電話が鳴った。

私は、無視して雑誌を読み進めた。
でも、お母さんがキッチンから「美波~!電話出て!」と言ったのでイライラしながら電話に出た。

「もしもし?」とぶっきら棒に言った。
「もしもし…美…美波ちゃん?」弱々しいその声は、前に聞いたことがあるような誰かに似ている声だった。

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