Spring Letter 【短編】
葬儀が終わった後、私は一人で海に行った。

海岸に座ってボーっと海を眺めた。
波音が私の心を優しく包み込んでくれているようだった…

でも、私の隣に美沙はいない。

どんなに波音を聞いても心の底にある悲しみは、癒せなかった。

美沙が隣にいないだけでこんなに違うんだ…

私にとって美沙は、かけがえのない存在になっていた。
私は、美沙に何をしてあげられただろう?
私は、毎日美沙に支えられていた。

「私が代わりに死ねばよかったかな?なんで神様は、美沙を選んだの?」

ポツリ…ポツリと雨が降ってきた。

それはまるで、美沙が泣いているようだった…

「ごめんね…美沙…」
美沙のことを考えると涙がドッと溢れてきた。

私の隣に美沙はいない。

私は、大人になれるのだろうか…

< 47 / 57 >

この作品をシェア

pagetop