Spring Letter 【短編】
駐車場に着くと何か思いついたように美沙のお母さんが言った。
「美沙が亡くなってから美沙の部屋を掃除していたらね、机の引き出しにあなた宛ての手紙があったの。美沙、あなたに渡せないまま亡くなったんだと思って、私が代わりに渡そうって思ったの。そしてあなたにいつ会うかわからないから毎日持ち歩いている鞄に手紙を入れてたの。やっとあなたに渡せるわ。受け取ってちょうだい…」
私は、手紙を受け取った。
「ありがとうございます」

「それじゃぁ…」と美沙のお母さんは車に乗り込みながら言った。

「それじゃぁ、また…」私は軽くおじぎをして言った。

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