北極星の約束
―11年前。
鈴には、7歳上の姉がいた。
野風亜実(のかぜ つぐみ)。
鈴は、亜実が大好きで、
いつもくっつきっぱなしだった。
しかし、1年前。
亜実が11歳、鈴が4歳の時、
亜実が末期の小児ガンだということが分かった。
発見された時にはもうすでに手遅れ。
亜実は余命半年を宣告された。
鈴は、病気のことはあまりよく分からなかったが、
日に日に弱っていく姉の姿を
毎日、誰よりも近くで見ていた。
けれど、妹や両親、周りの人間に励まされ、
宣告された半年を過ぎても亜実は生きた。
しかし、そのさらに半年を過ぎた頃、
亜実の病状は悪化。
痛みを緩和するために打たれる点滴の数が、
日を追うごとに増えていき、
歩くことも、立ち上がることも、起き上がることも、
そしてとうとう、話すことさえも出来なくなってしまった。