暴走族の秘密の姫君


けど、お母さんは天才の藍華に平凡な私を近づけたくなかったのか、私と藍華はしまいだって言うのに、話す機会も無かった。


藍華がピアノを始めたのは7歳のころ。


始めた時から、圧倒的な才能で周囲の目を引いていた。


そのころからまぁ私は無視されるようになり、だいたい家では一人だった。


藍華が良いことをすればお母さんは機嫌がいいし。


藍華が何か良くないことをすればお母さんの機嫌は悪かった。



…そのやつあたりは全部私に回ってきたけど。



「藍華に比べてあんたは…本当に何にも出来ないんだから」



そうやって毎日のように言われた。


妹が姉と比べられて卑屈になるっていう例は良く聞くけど…。


姉が比べられて卑屈になるって…どんな例だよ、って今でも思う。


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