暴走族の秘密の姫君


「………姉弟で喧嘩強いってすごい!」


撫子の弟か…。見てみたい。

「あ、総長…!」

そう言った撫子の視線の先を追うと、そこには男の人が立っていた。


「紫、見て。あれが総長。強いの………よ……?」


撫子が言葉を詰まらせた。


私も理由は見て取るように分かる。

撫子達の総長が抱えていた‘誰か’を床に落としたんだ。


「…おい、この族の総長は負けた。まだこのまま戦いを続けるか?!」


そう呼びかける撫子達の総長。


……つまり、自分1人で相手方の総長を倒してしまったってことか。


しばらくの沈黙があった後、相手方の副総長が出てきた。


「……俺らはまだ戦いを続ける。…卑怯だと言われようとな!」


ははは、と笑いながらこちらへ走ってくる。

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