元カレ×元カノ-最悪の再会-
車に乗せたはいいものの、これからどうするべきか思い付かない。
この子はショックが大きいのか一言も喋らず、ボーッとしたまま動かない。
人気のない公園の駐車場に停まり、声だけ掛けてみる。
「自分ちに帰る?送ってくから」
「……や、いやだ……」
やっと口を開いたかと思うと、目から涙が溢れだした。
自分の部屋でも嫌な思いをしたのか。
この子には憩いの場所がないのかと思うと、あいつに殺意さえおぼえた。
「じゃあ、どうする?……体、綺麗にしないと」
この辺に銭湯なんてないし、あったとしてもあまり人目につきたくないだろう。
うちは実家だし今の時間帯は母親と、もしかしたら妹もいるかもしれない。
でも、早く汚れを充分に洗い流せるだけのシャワーくらい浴びさせてやりたかった。
もう、一つしか方法は……ないよな。
この子には酷かもしれないけれど、言うだけ言ってみる。
「……風呂、入りたいよな?
でも、この辺には銭湯みたいなとこはないし、
俺んちは実家で母親がいる。
だから、あそこでとりあえず風呂だけ入ろうか。
そんで少し休んだら、これからのことを考えよう」
俺が思いつく最後の手段として、少し離れたラブホテルを指差した。
少しの間があったが彼女が小さくうなずいたのを確認し、車を走らせた。