24時間プロデュース【完】
二人掛けの小さなスペースに案内されて其処に腰掛ける。
『御注文がお決まりになりましたら
お呼びくださいませ』
ウェイターさんは軽く頭を下げると
店の奥へと消えて行った。
「架、」
「んー?」
架は側にあったメニューをぱらぱらと眺めている。
「帽子、取らないの?」
向こうの駅を出る際、深く帽子を被り直した架。
飲食店の中位、脱げば良いのに。
「無理、無理。
んな事したら大騒ぎになるって」
そう言って一向に帽子を脱ごうとはしない。
「ちぇ、自意識過剰なんだから」
軽く口を尖らせると、
「んだと~?」
少しだけむっとした顔になる。