24時間プロデュース【完】
「だからさ、泣きそうな顔しないで笑ってよ」
「っ」
「いちるの笑った可愛い顔が見たいな」
無理な注文しないでよ。
どう応えたら良いの。
だって今、あたし茹蛸の様に真っ赤な顔してる。
有り触れた言葉の一つ一つが嬉し過ぎて涙が出そうなの。
泉の様に湧き出るこの感情を抑える方法を、誰か教えて。
「架」
ゆっくりと深呼吸をする。
「んー?」
「架」
高ぶりを落ち着かせて、確実に伝える。
「何ー?」
「…有り難うっ」
そうして笑顔を見せた。
自分なりのとびっきりの笑顔を。
伝わったかな、感謝の気持ち。
――あたしは架のくれた言葉で傷付いた過去を終わりにして
架のくれた言葉でまた新しく始めるの――。