24時間プロデュース【完】
「ただ誰にも話した事が無くって。
それでどう口にして良いか少し戸惑っただけなんだ」
「うん?」
「いちるが知りたいって言うなら教えても良いよ。俺の夢だった話」
架はそう言って小さく笑った。
俺の夢“だった”話?
その夢が過去形で表されている事に些か疑問を抱きつつも
あたしにはYESの選択しか無かった。
「知りたい!」
大きく頷いたあたしを見て架はまた隣に来て歩みを再開させた。
「ウィンドウショッピングしながら話すか」
「実はさ、俺芸能人になりたかった訳じゃ無いんだ」
そんな衝撃的な一言を架の口から聞いたのは
雑貨屋さんの窓枠に飾ってあるウサギのぬいぐるみを“可愛いね”って眺めていた時だった。