24時間プロデュース【完】
小さな子供の様にショーウインドウにぴったり手を当てて
食い入る様に硝子ケースを見つめている、と。
「お待たせ!」
やっと架が店の中から出て来た。
「もー遅いよっ!」
本当はそんなに待って無かったのだけれど。
目の前でちょっとした悔しさを味わったものだから少し刺々しくなってしまった。
「ごめんごめん」
口を尖らせて拗ねた顔を見せるあたしに
架は頭を掻くと赤いリボンの付いたクリーム色の小さなバッグを目の前に突き出してきた。
…?
「何それ」
きょとんとした顔になるあたしに、
「良いから良いから。
開けてみて」
語尾に音符マークが付くみたいな
るん、とした口調で架が尚もバッグを突き出すから。
「…有り難う?」
訳の分からないまま、取り敢えずそれを受け取った。