24時間プロデュース【完】
きっとこんな状況じゃ無かったら。
ファンの人に見付かったら無視しないで、ちゃんと一人一人に笑顔で対応してる。
応援の言葉に一人一人、丁寧に御礼を言ってる。
そう思うから。
ファンの声を無視して逃げる今、架が内心辛い思いをしてるって分かる。
記者の嫌な質問攻めに遭ってでも
此処に残ってファン対応しなくちゃ、なんて考えているかも知れない。
今、此処で悪者になるべきはあたしなんだ。
「架、駅まで走るよ。
何処でも良いから切符買って、調度着いてる電車に飛び乗るの。
そしたら多分撒けるから!」
架にしか聞こえない声で囁く。
「…分かった」
架はすぐさま頷いてくれた。