24時間プロデュース【完】
「帽子、帽子深く被ってっ!」
階段を駆け上がりながら架に呼び掛ける。
もう駅の中だし、遊園地の最寄り駅と言う事もあって人が多い為
名前は呼べない。
架はそれには返事はしなかったけど
帽子の鍔を深く下げた事から
あたしの声が届いたのだろう。
せっかく逃げ切れそうなのに電車内でバレてしまっては意味が無い。
『扉が閉まります。御注意ください』
プシュウゥッ、と電車の扉が閉まる音がする。
「わあああっ!
乗ります乗ります待ってくださいっ!」
そんな事を叫んでも閉まるのは変わらないのに。
そう叫びながら、あたし達二人は雪崩込む様にして無事、電車に乗り込んだのだった――。