24時間プロデュース【完】
女の人の声には、聞き覚えがあった。
俺はその場に立ち止まったまま、影から会話に耳を澄ませる。
立ち聞きなんて、盗み聞きなんて悪いと思った。
悪い事だと分かっていた。
だけど、何故だか耳を傾けてしまった。
“手術すれば治るんでしょうか!?”
“――それは、何とも言えません。手術が成功したとしても後遺症の為リハビリとの闘いになるでし…”
“成功したとしても、って…
じゃあ、手術が成功しなかったらどうなるんですか!
まさか死ぬなんて事は…”
医師の暗い言葉を遮って、女の人はヒステリック気味に捲し立てる。
医師はそれには答えなかった。
それは恐らく肯定を意味しているのだろう。