24時間プロデュース【完】
「役として演技で心に残らなかったら
俺が役者として演じてきた意味はあるのかなって。存在意義も良いとこだよ」
そんな事無いよ、架の演技はちゃんと見る人の心に残っていってるよ、本当だよ。
でもあたしが言った所できっと今の架の心には届かない。
「怖い、怖い、怖い。
俺には“いつか”の未来を信じれる勇気さえ無い。
信じたいけど、信じられない…!」
隣の架が手で目頭を押さえたのが目の端で分かって。
「っ!」
どうにも堪らなくなったあたしは架を抱き締めた。
「い、ちる…?」
いきなり横から飛び付く様にして
抱き着いたあたしに
架はびくっ、と身じろいだけど。
あたしを拒否しようとはしなかった。