24時間プロデュース【完】
「それで、駅でいちるを見付けた。
最初はどうして良いか自分でも良く分からなかったけど
気付いたらいちるの腕掴んで走ってたよ」
「あの時は、あたしどうなるんだろって思ったよ」
ふ、と自然に笑みが漏れる。
今も腕に残る、勢い良く掴まれた感触。
不思議な事に当の本人は今も目の前に居る。
そう言えば、
「何であたしだったの?」
「え?」
駅だし、周りには人が沢山いた。
綺麗なお姉さんだって可愛い女の子だってきっと沢山居た。
なのに、
「いろんな人、周りに沢山居たのに
何であたしの事誘拐しようとしたのかな、って」
疑問に思ってた。
平凡々なあたしだから、こんな事に巻き込まれるなんて想像もして無かった。
だから――