24時間プロデュース【完】
「一日だけで良い、本当に一日だけで良いから…。
いちるちゃんの一日を俺に頂戴」
「っ、」
何て奴なの。
本当に、毒みたいに甘い台詞を吐く。
しかも、とてつも無く優しい声色で。
「……、」
すっくと立ち上がったあたしの手を男は手を伸ばして
ぎゅっと握り締めてくる。
――これが、まるで命綱であるかの様に。
握られた手は、噎せていたせいなのか
少し汗ばんでいて熱かった。
だけど、それを気持ち悪いとは思わなかった。