24時間プロデュース【完】
だから、この手は離さない。
「…っ、取り敢えず君も早く中に乗りなさい」
睨み付ける勢いで見つめたのが良かったのか
男の人は一瞬たじろいだ後
そう言って片手を振って中に入る様促した。
あたしは頷いて、救急隊員の人と中に乗り込む。
「どうされますか?」
隊員の人が男の人にも中に入るか否か訊ねる。
「いえ、私は車ですぐ後を追いますので」
男の人は深くお辞儀を添えた。
「架を宜しくお願いします」
「分かりました」
救急車の後ろの扉がバタンと音を立てて閉まる。
救急車の中にはあまり人が乗れないから
同行者は一人か二人しか乗れない。
あたしに気を遣ってくれたんだろうか。