24時間プロデュース【完】
「とは言え芳しい状態とはとても言えないので
面会時間はほんの少しになりますが…」
……。
「充分です」
時間の長さなんてこの際関係無い。
要は架に一目会えるか。
それだけだったから。
「では私はこれで失礼致します。
何かあれば枕元のナースコールボタンを押して頂けますか?」
「はい、分かりました。
有り難う御座います」
看護師さんに向かって深くお辞儀をする。
顔を上げた時には看護師さんは既に背を向けて歩き出していた。
あたしは看護師さんの後ろ姿が廊下の向こうへ消えるまで
じっ、と見つめた後架の居る特別室の扉をノックした。
コンコン、コン…
「任谷いちるです」
一応、名乗ってからゆっくりと扉を開けた。