24時間プロデュース【完】
文字が並んだその紙には企業の説明が黒文字でずらりと何行も並んでいて見ていると頭が痛くなってきそうだ。
でも向き合わなきゃいけない。
就職は実家方面での場所を探す事にしていたので
今日久々に高校時代よく利用していたこの駅に足を運んだ。
「此処もあんまり変わってないなぁ」
電車がいなくなり、人が消えたホームに
ぽつりと一人ベンチに座るあたしは
涼しい夜風に当たりながらそっと目を閉じた。
静かなホーム、が初夏の匂いをひっそりと漂わせる。
この駅だった。
4年前、彼と出会ったのは。
出会ったのはホームでは無く改札だったけれど
目を閉じれば今でも鮮明に思い出せる。
友達とのショッピングの帰りで軽い格好をしていたあたし。