24時間プロデュース【完】
其処にいきなり彼はあたしの目の前に現れて
あたしの腕を掴んで走り出した。
あの時程心臓がドキドキバクバクした事は無いんじゃないかって位――
いや、あるか。
彼が病院へ搬送された時――
それにしたって、錚々いないだろう。
こんな経験する事になる人って。
同い年の…しかも有名人に誘拐される、なんて。
まあ実際は誘拐は狂言綺語の様なもので
彼の色んな目的達成の為の駒として人質にされたに過ぎなかったんだけど。
良く言えばボランティア、もしくはヘルプ?
…どちらでも良いか。
あんなにドキドキしてあんなに泣いてあんなに笑ってあんなにわくわくして…
あんなにときめいた日は無いだろう。
きっとずっと生涯忘れる事は無い
あたしの一生の思い出。