アカンサスの花冠
理由なんて不要
鳴り響いたチャイムの後の授業は、全くと言っていいくらいに駄目だった。
相模くんからの頼み事に意識を持って行かれて、授業に身が入らなかった。
そのお陰で、陰湿数学教師の佐々木先生に嫌みを言われた。
そのおかげで気分は沈みきってしまう。
しかし授業自体の終了を知らせるチャイムが鳴り、これからの未知の時間に対しての緊張が、沈んだ気分を引き締めた。
先ほど言われたとおり、相模くんは私に一言断りを入れると教室を出て行った。
彼が帰ってくる間、私は一人で教室の自席に座って相模くんを待たなければいけないのだけれど、教室に残ったクラスメイト達に「一人でなにしてるんだろう」なんて言われているのではないか、という勝手な被害妄想が脳内を占めて、またも勝手ながら居心地悪く思ってい、肩身狭くなりながら待った。