【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「サトシ?」
「あ、なんか、銀座にティファニーがあるって聞いたことあるんだけど……このデパートの中にある?」
「え?」
早速買いに行こう、とサトシは歩き出した。
「あの、このデパートにはないけど」
「じゃあ案内して」
「ティファニーみたいに高いのじゃなくて、本当に安いのでいいの」
足早に移動するサトシの歩調に慌てて合わせながら、高価なものでなくて良いのだと再度主張した私に、サトシは、そんなこと気にするなとばかりにこんな発言をした。
「俺は友里みたいな安月給じゃないから、何だって買えるんだ」
「だから、安月給発言は余計だってばぁ」
苦笑しながら反論した私の、左手の薬指をサトシが握る。
「俺が指輪をあげたら、この指にしてくれる?」
「……!」