【完】 After Love~恋のおとしまえ~


サトシの部屋のキッチンで、私は呆然と「それら」を見つめていた。

先週サトシの部屋に来たときにはなかったペアのマグカップが、食器棚の中に突如現れていたのだ。

キャラクターの描かれたそのマグカップはTokyo Disney Landのロゴ入りで、ディズニーランドで買ってきたものだとひと目で分かる。


サトシ、ディズニーランドに行ったの?

誰と?

もしかして「ももちゃん」と?


私はそのマグカップを両手に一つず掴むと、リビングでテレビを観ているサトシの元へと向かった。

「ねえ、サトシ」

ソファでくつろぐ彼の背後から声をかける。

「ん?」

振り向いたサトシに向かい、両手のマグカップをすっと目の前に差し出すと、努めて自然に、何でもないような口ぶりで問いかけた。

「ねぇ、このマグカップ、どうしたの?」

にこりと、微笑みを添えて。

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