【完】 After Love~恋のおとしまえ~
疑惑のマグカップのあった場所に、私は、自分が買ってきたマグカップを並べた。
考えた末に私が選んだのは、白いマグカップ。
ひかえめな細い線が2本入っているシンプルなものだ。
サトシの分は、白地に黒い線。
私の分は、白地に赤い線。
一人暮らしの男性の部屋に置いてあっても違和感のないデザイン。
さんざん悩んで、そんな気づかいの末に選んだものだったけど……
こんなことなら、赤やピンクのハートがたくさん画いてある、どう見ても「女が選んだ」と丸分かりのマグカップを選べば良かった!
いまいましい気持ちを抱えながら、私は食器棚の扉をピシャリと閉めたのだった。