【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「羨ましいだなんて、そんな。友里ちゃんだって、サトシ先生に愛されているでしょ?」
結衣子さんの言葉に、カップを持つ私の手がぴたりと止まる。
愛されて……いるのかな。
どうだろう。
残念ながら、愛されていると自信をもって断言することなど、とても出来そうになかった。
なぜなら、最近の私は、ももちゃんという見えない敵に常に脅かされているからだ。
「友里ちゃん?」
動きの止まった私の顔を、結衣子さんが「どうしたの?」という様子でのぞき込んできた。
「あ、いえ、別に。ところでこの部屋、素敵なインテリアですね。谷本先生の趣味なんですか? それとも結衣子さんが選んだんですか?」
広々としたリビングは、オフホワイトと茶系の落ち着いたインテリアでまとめられていた。
「あぁ、これはね、私が選んだの」
「恋人の部屋のインテリア選びをさせてもらえるなんて、それもまた羨ましいです」
私の言葉に、結衣子さんが首を振った。
「これは、そんなにいいものじゃないのよ。だって私がインテリアを選びなおさせてもらったのは、この部屋に前の奥さんの選んだものが多すぎるのが嫌だったからだもの」
「え?」