【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「だって、こんな風じゃ、地図だって見られないし」
私の主張にサトシは「それなら、大丈夫」と、こんなことを言いだした。
「目的地までの道は、もう分かっているから」
「え? ……道、分かるの?」
「あぁ、大丈夫、覚えてる」
「サトシ、行ったことあるの?」
「えっ、いや、行ったことはないよ。清里に行くの、初めてだよ」
「だって今、覚えてるって……」
「いや、だから、地図を見て道を覚えてきたっていう意味。予習したから道が分かるんだ」
「……」
サトシは高速を降りてからも、迷うことなくスムーズに目的地のリゾートマンションに到着した。
「ここだよ」
「素敵なところね」
道に迷わなかったのはありがたいけど、サトシの行動は、明らかにある事実を証明づけていた。
――サトシ、すでにここに来たことあるんだね。だから、道を知っていたんでしょう?