【完】 After Love~恋のおとしまえ~



そんなある日。

宇宙が舞台となった映画を観ていたときのこと。

「俺、宇宙に行くのが夢だったんだ」

突然サトシがそんなことを言い出した。

「サトシ、宇宙好きだもんね。でも、過去形なのはどうして? 今はもう行きたいと思ってないの?」

「うん。今はもう、行くつもりはない」

画面に目を向けたまま、サトシはそう答えた。

「どうして?」

「宇宙に行くのは危険と隣り合わせだろ。命をかけてまで、もう行きたいとは思わない」

そう言ったあと、サトシは私に真剣な眼差しを向けてきた。

「危険を冒してまで、行きたくはなくなったんだ。この地球上に、守りたい人ができたから」
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