【完】 After Love~恋のおとしまえ~
その日、私はある包みを大事に抱えてサトシの部屋へと向かっていた。
包みの中身はフォトフレームだ。
谷本先生の部屋に飾ってあった、あの四枚の写真が入るフォトフレームと同じもの。
私には、あれが谷本先生と結衣子さんの幸せの象徴に見え、二人の幸せにあやかりたくて、真似をしたくなったのだ。
「これ、プレゼント」
私が包みを差し出すと、サトシは
「プレゼント? 安月給の友里から?」
またそんな憎まれ口をたたく。
だけど
「……嬉しいけど」
なんて、小声で付け加えてくれた。
「へぇ、写真立てか。なかなかいいな」
包みを開けたサトシに、谷本先生のものとおそろいなのだと伝えたところ、「なんでまた」と、不思議そうな顔をしていた。