【完】 After Love~恋のおとしまえ~
私はバッグから二枚の写真を取り出すと、サトシの前に広げて見せた。
「これを入れようと思って。夏に沖縄で撮った写真と、秋に清里で撮った写真」
「写真入れるところ四か所あるから、あと二枚、俺のところにある写真から何か選ぶ?」
「ううん、春夏秋冬の写真を入れたいから、冬の写真はこれから撮ったのを入れたいの。春の写真は……」
サトシと知り合ったのは春だったけど、写真なんて撮らなかったからなぁ……と思った瞬間
「あ!」
思い出した。
「そういえば、春には、サトシがお寺で私の写真を撮ってくれたよね」
ちゃんとした二人の写真は、次の春に撮るとして。
まずはあの写真を入れておこう。
一応、春に撮った写真だし。
あの「心霊写真になりそこねた写真」も、それはそれで、私たちの歴史の一ページだし。
「うん、あの写真を入れよう」
私はソファから立ち上がると、書斎へと向かった。
サトシが書斎の本棚に飾ってくれている、あの写真立てから取り出そうと思ったのだ。
けれど――
「……え?」
本棚の前で、立ちすくんでしまう。
私の写真が入っていた写真立てが、そこから姿を消していたからだ。