【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「別にそういうわけじゃないって……プロポーズでもなくて東北に一緒に行こうって、どういう意味?」
私の眉間にしわが寄る。
サトシはそんな私の様子には気づかないようで、コーヒーをのんびりと飲みながら答えた。
「意味って? だから、俺が転勤するから、友里も一緒に来ないかなって思っただけ」
ただそれだけの意味だと、サトシは笑う。
「つまり、結婚でなく、単に同棲するために仕事も辞めて東北までついて来いっていうの?」
「だめ?」
「当たり前でしょ! 結婚するならともかく、しないなら行くわけでしょう!」
期待を打ち砕かれ、いつになく強い口調になってしまった私に、サトシは――
「え? あ、あぁ、そうか。それもそうだよな」
少したじろいで。
それから、「よし、じゃあ、こうしよう」と手を打った。
「もし俺が転勤になったら、そのときは、しょうがないから結婚しよう」