【完】 After Love~恋のおとしまえ~
年明け最初の週末、サトシと私は、谷本先生と結衣子さんと一緒にスキー場へ向かっていた。
なかなか予定が合わず、ようやく実現したスノボ旅行だった。
サトシの車で明け方に出発した私たちは、途中のサービスエリアで休憩を取る。
「あら? サトシ先生、そのセーター、手編みですか?」
コートを脱いだサトシの姿を見た結衣子さんが、すかさずそんな質問をしてきた。
「えぇ」
サトシがうなずくと、結衣子さんは微笑んで
「友里ちゃんが編んだの?」
私に尋ねてきた。
「はい、クリスマスプレゼントに」
秋から密かに編んでいた濃紺のセーターは、クリスマスイヴに無事にサトシに渡すことができた。
「これって、手編み? すごいな、嬉しいよ」
そのときにサトシがくれた言葉が、私にとって最大のご褒美で。
そのセーターをこうして着てくれているサトシを見るたび、私は無性に、その胸に顔をうずめたい衝動にかられるのだった。