【完】 After Love~恋のおとしまえ~



「――それにしても友里、すごく頑張っていたよなぁ」

二人でレストハウスからリフトに向かっているとき、突然サトシが感心したような口調で私の背中を叩いてきた。

「さっき、あそこのリフトに乗っていたら、上から初心者コースが見えてさ。友里が練習しているところ、見てた」

「やだ、転んでばっかりだったでしょ。恥ずかしい」

「いや、俺、感動したよ」

「え?」

サトシはふいに立ち止まると、私の方に顔を向けてきた。

「転んでも転んでも、何度も立ち上がって諦めずに滑りはじめる友里に、なんかちょっと感動したよ、俺」


サトシに追いつきたくて。

サトシと一緒に滑りたくて。

サトシのために努力する私の姿を、サトシはちゃんと見ていてくれたのだ。


「友里はがんばり屋だな」

そんなサトシのひとことで、私の努力はすべて報われる。

< 180 / 595 >

この作品をシェア

pagetop