【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「友里はいつもそれを頼むな」
銀座のカフェ・リリーシュの店内。
マロンケーキを注文した私に、サトシが呆れたように笑っていた。
リリーシュは、サトシとの初めてのデートで入って以来、銀座を訪れるたびに二人で立ち寄っているカフェだ。
マロンケーキが絶品で、私はいつもそればかり頼んでいた。
「だってこれ、好きなんだもん。サトシも頼めば良かったのに」
「俺はいいよ」
サトシも甘いものはけっこう好きなくせに、こうして外でお茶をするときには、あまりケーキを頼んだりしない。そのくせ
「ひと口ちょうだい」
そう言って、口を開けるのだ。
「やっぱり、食べたいんじゃない」
くすくす笑いながら、フォークでサトシの口元に運んだ。
「うん、うまい」
満足そうに口を動かしながら
「だけどさぁ……」
それを飲み込むと、サトシが口を開いた。