【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「――友里、エンゼルマークを集めてたって言っていただろ?」
銀座での出来事を思い出していた私の顔を、サトシが覗きこんできた。
そうだ、言った。
確かにそう言った。
だけどそれは、子どもの頃の話だったのだけど……
とはいえ、もしかして、私が欲しいと言ったからサトシはあんなに沢山のチョコボールを買って、エンゼルを探してくれたの?
私自身、話したことさえ忘れていたあんな雑談を覚えていて?
「たまたま気が向いて買ってみたら、偶然銀のエンゼルだったんだ」
サトシがそんな説明を加えたから、私はサトシの顔をまじまじと見つめた。
「たまたま?」
「あぁ」
たまたま、あんなに沢山買ったの?
そんなわけないよね。
「ちなみに、何個買ってくれたの?」
私の問いかけに、サトシは「えっ?」と一瞬口ごもって。
それから
「五個だよ。五個買ったら、たまたま全部銀のエンゼルだったんだ」
そんな風に答えた。