【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「……そっかぁ」
ニヤけそうになる口元を必死に押さえる。
サトシってば。
本当は、あんなに沢山買ってくれたくせに。
「五個全部が銀のエンゼルだったなんて、サトシってばすごいクジ運ね」
「あぁ、俺、クジ運いいんだよ」
得意げに自分の胸を叩くサトシ。
私の胸に、熱いものがこみ上げてきた。
「ありがとう、サトシ。私ね、すごく欲しかったから、本当に嬉しい」
「そう?」
そう、私はすごく欲しかった。
子どもの頃の私が望んでいた、銀と金のエンゼルマークのことではなく……
今の私が望む、「私のことを気にかけてくれる」というサトシの気持ち。
「欲しいのものをもらえて、本当に嬉しかった」
私のために集めてくれた、サトシの気持ちが何より嬉しくて。
「そうか、それは良かった。偶然とはいえ、俺も買った甲斐があったよ」
そんな嘘をつくサトシが、誰より愛くて。