【完】 After Love~恋のおとしまえ~
私とサトシの関係は、表面上は常に穏やかで円満だ。
だけど私にとって、サトシとの恋は、一方的に山あり谷ありだ。
エベレスト辺りまで飛び上がりたいほど嬉しいときもあれば、マリアナ海溝なみの深さの悲しみに襲われることもある。
私がそれほど彼の言動に一喜一憂していることなど、サトシは想像もしていないのだろうけど。
また、サトシは無用心な人だから、私はサトシの部屋を訪れるたび、様々なものを発見してしまう。
もちろん、この前のチョコボールみたいな嬉しい隠しごとなら歓迎だけど――
「あんまりだよ、これは……」
食器棚に堂々と登場した夫婦茶碗を前に、私は固まってしまっていた。
サトシはももちゃんと、夫婦茶碗を買ったようだ。
以前、同じように食器棚に並ぶペアのマグカップを見つけてしまったときよりも、衝撃はずっと大きかった。
だって、夫婦茶碗だなんて……