【完】 After Love~恋のおとしまえ~

ちょっと待ってよ、サトシ。

いきなりその発言はないでしょ。

そりゃ、ももちゃんには他の女の存在がバレたかもしれないけど、私にはまだバレてないという設定じゃないの?

サトシの脳内では、私にもバレたことになっているの?

「ももちゃんにバレた=同時に友里にもバレた」という構図なの?

サトシの中では、一体どういう解釈になっているのか。

とりあえず、再びとぼけてみる。

「どっちかを選ぶって、何の話? 何と何を選ぶの?」

「え……?」

サトシは一瞬言葉に詰まり、それから……

「あ、あぁ、そっか。いや、何でもなかった」

慌てて取りつくろった。

「今回バレたのはももちゃんにだけで、友里にはまだバレていないのだった」という点を思い出したのだろうか。

しかし私も、「何でもない」と言われて「そうですか」と引き下がってあげたりはしない。

容赦なく追及する。

「何でもなくはないでしょ? 切羽つまった感じだったよ? 何と何を選べないの?」

そんな私の問いに、サトシは早口で答えた。

「違うんだよ! だから……実は今、ラーメン屋でさ! 味噌ラーメンにするか、醤油ラーメンにするか、選べなかっただけだから。それだけだから。じゃあな!」
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