【完】 After Love~恋のおとしまえ~
私が仕掛けた「ビニール袋事件」以来、サトシの部屋からも、サトシ自身からも、ももちゃんの痕跡が消えた。
ももちゃんとは別れたということなのだろうか?
あの時、サトシは確かに「どちらも選べない」と言っていたのに……
私を選んでくれたのか、あるいは、ももちゃんの方から見切りをつけられたのか。
真相は分からないけど、とにもかくにも、ももちゃんの痕跡が消えたのだ。
さんざん私を悩ませた割には、なんてあっけない幕切れだろう。
こんなことなら、もっと早く、ビニール袋を三角形に折れば良かった。
「これ、買ってあげようか」
それから数日後のある日、宝飾店のショーウィンドーの前を通りがかった時、サトシが突然そんなことを言い出した。
「え?」
サトシの指差す先を見ると、そこにはダイヤの指輪が飾られていた。
七桁の値段が表示されている。