【完】 After Love~恋のおとしまえ~
私の誕生日は、四月二九日だ。
昭和の日なので、わりと覚えやすいと思う。
「ゴールデンウィークにまた沖縄に行かないか?」
昭和の日を挟んでの日程でサトシが旅行に誘ってくれたのは、私の誕生日を想い出の地で祝おうとしてくれているということなのだろうか。
去年の夏に沖縄で
「オーストラリアへ、いつか一緒に行こう」
夕日の中で交わしたあの約束を、サトシは覚えているだろうか。
私の方は――あの日、小瓶に入れて持ち帰ってきた星の砂を、今でも大切に飾っているのだけど。
「でも、ゴールデンウィークの沖縄なんて、もう予約が取れないんじゃない?」
「俺がなんとか予約するよ。西表島は無理かもしれないけど、沖縄中探せば、どこか空いているツアーも見つけられるだろ。直前にキャンセルが出ることもあるだろうし」
絶対に連れて行ってやる、とサトシが力強く断言した。
――いいツアーがないか、暇人の友里が調べておいてくれる?――
そんな風に言っていた去年とは大違いだ。
これもサトシなりの罪滅ぼしなのだろうか。