【完】 After Love~恋のおとしまえ~
それからサトシは、言葉どおり旅行の予約を取ってくれた。
でも――沖縄で過ごした四月二九日、私の誕生日当日。
サトシからのおめでとうの言葉はなかった。
もちろんプレゼントなどもなく――サトシは、私の誕生日を覚えていなかったのだ。
昭和の日を挟んで旅行の予定を立てたのは、ただの偶然だったらしい。
誕生日を覚えていてくれなかった。
それは、悲しいことだけれど、仕方がない。
旅行の予約をしてくれただけでも、サトシにしては大いなる進歩なのだから。
しかし、旅行が終わる最終日。
お互い、職場や実家にお土産を選んでいたときのこと。
私はサトシから、信じられない言葉を聞いたのだった。