【完】 After Love~恋のおとしまえ~
それからすぐのことだった。
サトシから再び女の気配を感じるようになったのは。
例えばキッチンの様子から。
例えば洗濯物の様子から。
「女がサトシの部屋で家事をしている」というのは、一目瞭然だった。
それは悲しいくらい分かりやすかった。
私が対抗して、サトシの部屋の家事に手を出すことは出来ただろう。
だけど、そうはしなかった。
私は……
ただ、サトシの部屋に行くのをやめたのだ。
「外で会おうよ」
サトシの部屋で過ごす時間は好きだったけど……
それ以来、私はあえて毎回「外で会おう」と言った。
部屋に残るももちゃんの形跡を見たくなかったから。
でも、部屋に行かなくても、やっぱりももちゃんの形跡は見えてきてしまうもので――