【完】 After Love~恋のおとしまえ~
結衣子さんと久々に会ったのは、風の強い日曜日のことだった。
用事があって私の家の方に来るから会おうと、結衣子さんが誘ってくれたのだ。
「久しぶりね、友里ちゃん」
「ご婚約おめでとうございます。お祝いを言うのが遅くなって、すみません」
「ううん、ありがとう。あ、注文、何にする? 私は、モンブランとコーヒー。友里ちゃんは?」
「私は……アイスコーヒーを」
「ケーキは? 甘いもの好きでしょう?」
「ええ……」
食欲がなくて、という言葉は言わずに飲み込み、曖昧に微笑んだけど、結衣子さんの方から指摘してきた。
「食欲ないのね……やっぱり何かあった?」
「え?」
「私ね、ずっと気になっていたことがあるの。気になっていたのに、婚約とか結婚準備とか、バタバタしているうちにすっかり時間が経っちゃって。ごめんね」
「何の話ですか?」
「あ、うん……」
結衣子さんは少し迷うような顔をして、それから、言いにくそうに口を開いた。