【完】 After Love~恋のおとしまえ~


ある日、サトシが花火大会に誘ってくれた。

「俺の部屋から見えると思うんだ。良かったら見に来ないか?」

サトシの部屋から花火大会会場までは少し距離があるものの、高層階のため間に遮るものがなく、きっとよく見えるに違いなかった。

「うん、行く! 仕事終わったら急いで行くね!」

「ああ。俺もその日は手術の予定もないし、遅くならないと思う」



当日、新調した白いワンピースを着てサトシの部屋へと向かう。

二人で観る初めての花火が楽しみで、思わず買ってしまったワンピースだ。

「そうだ、お土産にアイスでも買っていこう」

駅前の店でアイスクリームを買い、軽やかな足取りでサトシの部屋を訪れチャイムを押すも、主はまだ帰っていないようで、チャイムはドアの向こうでむなしく響き渡るだけだった。
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