【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「友里ちゃん?」
喫茶店のドアを開ける手を止めて、結衣子さんが私の方に振り返った。
「どうしたの?」
「あ……いえ、別に」
「そう? じゃあ、入りましょうよ」
店の前で立ち止まっている私を、結衣子さんが店内に促そうとする。
でも……
このチャンスを逃したら、ももちゃんにはもう会えないような気がする。
いや、また待ち伏せをしていれば会えるのかもしれないけど、今を逃したら、もう私は、待ち伏せをするほどの気力がでないような気がする。
だからきっと、今しかない!
「結衣子さん! ごめんなさい、急用を思い出してしまいました。後で来るので、結衣子さんはこのお店で待っていてくれませんか?」
「え?」
「すみません、また後で!」
半ば強引に結衣子さんを喫茶店のドアの向こうに押し込むと、私は「ももちゃん」に向かって歩き出した。