【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「ところで、ももちゃんの方に惹かれた最大のポイントは、どういうところだったの?」
何度も話し合いを繰り返すうちに、いつしか私は、そんな質問も普通にできるようになっていた。
別れ話に対し、奇妙な「慣れ」ができていた。
その質問に、サトシはなかなか答えようとはしなかったけれど……
「最後にきちんと聞いておきたいの。私じゃなくて、ももちゃんが選ばれた理由は何だったのか。後学のために聞かせてよ」
「最後」という言葉に、揺れたのかもしれない。
サトシは言いづらそうに口を開いた。
「ももちゃんには……嘘をつかなくて済むから、楽だったんだ」
「どういうこと?」
「俺、友里には色々と嘘をついたろ。出身大学も、血液型も、星座も。よく思われたいあまり、つい嘘をついてしまって。だけどももちゃんは同じ職場だから、そんなのどうせバレるから嘘はつけないじゃないか。そういう嘘をつかなくていい関係が、楽だった」