【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「だけど、その後……やっぱり距離が近い方に、気持ちが傾きはじめたんだ」
ももちゃんはサトシの近所に住んでいて。
サトシの部屋の家事をしてくれて。
職場も一緒で、いつもそばにいて。
サトシの気持ちは、彼女の方へ向いていったのだという。
そうしてサトシは、「友里とは別れたから」と今度はももちゃんに嘘をつき、ももちゃんを浮気相手から恋人に昇格させたそうだ。
「いつだったか、サトシは言ってくれたのにね。『送るのもドライブ気分で楽しいから、距離なんて気にならない』って」
そう、付き合いはじめたばかりのころ、お互いの家が遠いことを嘆いた私に、サトシはそう言ってくれたのだ。
あれは、二人の間に一点の曇りもなく、幸せだった頃のこと。
「あのときはそう思ったけど……やっぱり遠かった」
「私たちがダメになった発端は、物理的な距離だったの? 私が近くに引越しでもしていたら、違う展開もあった可能性もあるの?」
「もしかしたら、そうかもしれない。そうだよ、うん。結局、一番の理由は、友里と俺の『家が遠い』ってことだったんだよ。友里さえ近くに引っ越してきてくれていたら、違った展開もあったかもしれないのになぁ」
ちょっと、心変わりの理由を私のせいにするわけ!?